韓国で『山女日記』の翻訳出版と、『往復書簡』の舞台化が重なり、出版社「金寧社」の文学ブランド・VICHE(ビチェ)さんのご招待で、ソウルに行ってきました。ビチェさんは、『告白』『夜行観覧車』『リバース』などなど、湊さんの作品を7作も翻訳出版しています。ご招待いただいたのは、2016年7月に続いて、2回目です。
3/30(土)
夜の7時半ごろ、淡路島からやってきた湊さんと仁川空港で合流。ビチェからは担当編集者のチャンさんはじめ、5人のスタッフが迎えてくれました。この日は、空港で夕食をとって、そのままホテルへ。
3/31(日)
午前中、湊さんは美容院へ。韓国では、取材の前に美容院でヘアスタイルを整えてくれるのです。
昼食は、「城北洞メミルスジェビヌルンジベクスク」という、地元で人気の「鶏のスープおこげ」のお店。11時半の開店と当時に、満席です。おこげのほかに、そば粉のチヂミ、エゴマスープのそば粉すいとんなど、初めての韓国料理をいただきました。どれも優しい味で、美味しかった!
午後からは、雑誌「ミステリア」のインタビュー、宣伝用動画撮影、サイン会、200冊のサイン本作りと盛りだくさん。
インタビューは、金寧社が運営する書店の素敵なサロンで行われました。通訳は、『山女日記』の翻訳者・沈ジョンミョンさんが務めてくださいました。沈さん、翌日から同志社大学に留学というのに、湊さんが来るということで、駆けつけてくださいったのです。
サイン会が行われたのは、3年前と同じ光化門の大きな書店「キョボ文庫」。「3年前にも来ました」という人も何人かいらっしゃって、湊さんも「覚えていますよ」と笑顔でした。
夕食は、金寧社のはす向かいにある韓国料理店「Cho gak bo」で、サムギョプサル、チャプチェなど馴染みの料理から、イシモチの干物、蛸の卵焼き風など、珍しい美味しい物もいただきました。このお店、なんと金寧社の「社食」だそうです、ランチはここで自由に摂っていいとか。こんなに美味しいお店のランチが、会社持ちで食べられるなんて、羨ましい……!
食後の珈琲をいただいたあと、チャンさん、湊さんと3人でオイルマッサージへ。至福……。
4/1(月)
ホテルの個室で夕刊「文化日報」のインタビュー。通訳はスレンダー美人の、黄セミさんです。
昼食は、この旅初めての中華料理でしたが、オススメは韓国オリジナルの麺とのこと。「赤」の汁麺(ちゃんぽん)と「黒」のまぜ麺(じゃじゃみょん)があるのですが、韓国の人は、いつもどちらを頼むかが人生の重大な問題で、大いに悩むそうです(そのため、ハーフ&ハーフ用の器ができたとか)。その他、甘酢あんが別になっている酢豚(これ、好みの味付けにできてよかったです)や、油淋鶏に舌鼓をうっていると、新元号発表のニュースが。「令和」という新元号を、ソウルの中華料理店で、韓国の編集者たちと同時に知る、という思い出になるひと時でした。
KT&G本社ビルにある劇場に移動して、ここからは舞台に関する行事です。楽屋で役者さんたちにご挨拶した後、テレビ局の取材を受けて、舞台「往復書簡 十五年後の補習」のプレ公演を観劇。『往復書簡』は書簡のみで綴られるミステリですが、舞台では、現在と過去が立体的に交錯して、ドラマチックな仕立てになっていました。ラストの演出には、湊さんも感激し、「日本でも上演してほしいです」という話をされていました。観劇後は、俳優陣、演出家、脚本家と並んで湊さんも登壇して、マスコミの取材に答えました。取材を含めて通訳はキム・テイさん。この舞台化をずっと応援してきてくださった方です。
インタビューを二つ受けてから、舞台をプロデュースしてくれた会社・BELLA MUSEの代表のご招待で、coexビルの52階にある夜景が素敵なレストランで、ディナー。
4/2(火)
最終日も、盛りだくさんです。まず、美容院で髪をセットしてから、31日と同じ金寧社のサロンで日刊「ハンギョレ」のインタビュー。昼食は、金寧社近くのオシャレ韓国料理屋さん。オススメされてメインにセレクトした「イシモチの出汁茶漬け」が、とても美味しかったです。
午後は、日刊「東亜日報」とネットマガジン「channel yes」のインタビュー。こちらの通訳は、『告白』『往復書簡』などを翻訳された、金ソンヨンさん。3年前にも通訳を努めてくださった、明るく楽しい方です。
そして、ついに全ての行程が終了して、金浦空港まで送っていただきました。ビチェのスタッフのみなさん始め、ソウルでの温かく楽しい、心からのおもてなしで、とても楽しい4日間でした。「今度はソウルで登山しましょう」と言い合って別れましたが、最後は思わず涙が……。